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OpenCVよりな理系大学生による主に研究ブログ(個人用) - Egocentric Vision・SURF・SIFT・Optical Flow・AR・ Motion Analyses・Kinect・Leap Motion - 最近、VCでアルバイト始めました。

Qualcomm の知的財産戦略とその背景

クアルコムは知的財産上手く活用することにより利益を上げている企業の一つである。その中でもクアルコムCDMA 方式の技術ライセンスを持つ会社として広く知られているが、技術ライセンスのロイヤリティのみで利益を上げているのではなく、利益の大半は半導体で売り上げを占めている。このようにあくまでも半導体メーカーとしての位置づけである一方でスマホ市場においてライセンスが市場に及ぼす影響がかなり大きいが故に知的財産を上手く 活用して発展を遂げている企業である。ライセンスビジネスがスマホ市場に大きな影響を与える背景としては、言うまでもなくスマホは現在あらゆる技術の結晶として成り立っており、技術ライセンスを持つ企業は一般的に1台あたりいくらといった計算でロイヤリティの収入がある。それにより、ひとつの製品を開発するのにも、複数の異なる企業の技術ライセンスが必要となり、場合によってはロイヤリティだけで非常にコストがかかり、結果的に製品コストが高くなることがある。また、どうしても研究開発の設備投資に莫大なコストがかかり利益率もよくない業界である。従って、研究開発のコストを下げざるを得ず、 ハイエンド機種の開発に対して他社より抜きにでた技術が生まれにくい。もちろんローエンドの機種に対しても開発コストを下げるのに技術ライセンスが邪魔になってしまう。そこで、クアルコムはあらゆる関連企業を買収し技術ライセンスをある意味独占的に支配している。しかし、知的財産を独占するのではなく、ロイヤリティで得た収入を研究開発に回し、研究開発によるイノベーションを通信用半導体チップと知的所有権という形で提供している。このようにクアルコムは様々な知的財産権保有者とライセンス契約を受け持つことで、携 帯メーカーはより低いコストで、こうした技術を扱えるようになる。知的財産権のトータルコストを下げることはスマホ市場において競争を活性化することにつながり、より多くの新規参入を促し、市場の拡大にもつながる。


改めてクアルコム知的財産権戦略を考察してみると、ビジネスではいかにマーケットが重要かを感じますね。

参考:
Mobile IT Asia:“スマートデバイス化”をサポートするQualcommの技術と強み - ITmedia Mobile
ライセンス契約の研究-クアルコム社韓国独占禁止法事件紹介(二又 俊文)/コラム/東京大学政策ビジョン研究センター
CDMA10周年特別企画 日本のケータイの進化を支えてきたクアルコムのワイヤレステクノロジー
ITmedia ビジネスモバイル:技術を開発し、チップで儲ける──Qualcommのビジネスモデル (1/3)